施工会社の選定作業に入る前に決めなければいけないことは、どのような方法で工事を行うかということです。

日本では一般的に、元請となる建設会社1社に全ての業務を一括して発注し、その元請会社が自社で組織している各職種別の協力会社(場合によってはさらにその下請会社)に業務を割り振った上で、元請が統括して、品質・コスト・安全などの管理を行います。
この方式は信頼できる元請会社であれば、手間がかからず、安心して仕事を任せることができ、またかし担保責任や、協力会社の倒産等の事態に対しても一応元請会社の信用力を期待できるというメリットがあります。その反面、工事の内容特にコスト面ではブラックボックスになっており、どのくらいの原価で実際の工事が行われたのか外部から知ることはほぼできません。
コストや透明性を重視する場合には、CM(コンストラクションマネジメント)方式が有力な手法です。CM方式には、(1)完全分離発注方式(純粋なCM方式)と、(2)修正CM方式(日本の実情に合うように修正を加えたもの)がありますが、これらの方式を採用するマンションが徐々に増えてきています。

(1)完全分離発注方式

足場、防水、塗装など一まとまりの各工種を、総合建設会社を経由せずに、管理組合から施工能力や保証能力の優れた専門工事会社に直接分離して発注することにより、品質を確保しつつコストを下げる方法です。
大規模修繕では新築とくらべて工事の種類が少ないため、この方式を採用した場合でも、事務の負担や工事監理の手間は比較的軽くてすみます。コスト低減の効果を考えると、中小規模のマンションに適した手法といえます。ただしこの方式では、専門工事会社の選定から実際の工事監理までの業務を行うCMR(コンストラクションマネージャー)がポイントであり、経験豊かなパートナーが必要になります。
この方式は次の修正CM方式と組み合わせて活用することもできます。

(2)修正CM方式

この方式は(1)の完全分離発注方式を日本の実情に合った形に修正したもので、ゼネコン(あるいは工務店)を統括管理会社とするもので、大規模マンションでも有効な手法です。
一見すると従来の方式と大差がないように見えますが、総合建設会社のほかに、設備や塗装などの専門工事会社からも別途見積をとり、その専門工事会社に価格等の優位性がある場合には、その会社を総合建設会社の下請会社として採用するように働きかけるもので、完全分離発注方式とともに、次のような効果が期待できます。

イ)建築コストが透明になり、各事業者のノウハウを結集し、工事費の削減が図れる。
ロ)管理組合にとって、工事内容や施工会社の選定過程が明確になる。

方式の解説図

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